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最高裁判所第二小法廷 昭和51年(オ)678号 判決 1976年10月01日

神戸市北区八多町下小名田六二九番地

上告人

森武一

被上告人

右代表者法務大臣

稲葉修

右当事者間の大阪高等裁判所昭和五〇年(ネ)第一二九四号損害賠償請求事件について、同裁判所が昭和五一年二月二七日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があつた。よつて、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由第一点および第二点について

論旨は、原審の認定しない事実を主張して原判決を非難するか、原判決を正解しないでその違法をいうものにすぎず、採用することができない。

同第三点について

記録にあらわれた訴訟の経緯に鑑みれば、原審が上告人の主張自体により、上告人の請求を理由がないと判断したのは正当であり、所論の点について審理、判断しなかつたことをもつて違法とはいえず、論旨は採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岡原昌男 裁判官 大塚喜一郎 裁判官 吉田豊 裁判官 本林讓 裁判官 栗本一夫)

(昭和五一年(オ)第六七八号 上告人 森武一)

上告人の上告理由

上告理由第一点 原判決には著るしき事実の誤認若しくは違法がある、

何故なれば上告人は訴外人樫本定雄より「昭和四七年十二月になされた登記行為は昭和四十八年一月になされた登記行為となす」との約束がなされた間違ひから生じた所得税確定申告の不手際から考へなければならない事実でさへもあたかも上告人は昭和四十八年度に於いて確定申告の手続を怠り居たる者の如くに考へこみたる被告の行き過ぎは当然取消す可きであるばかりでなく此れの過誤から生じた税金の過納分は速やかに上告人の手許へ返却せなければならないからである、

上告理由第二点 原判決には理由齟齬若しくは錯誤の違法がある、

何故なれば上告人は最初より毛頭所得税の確定申告の手続を怠るといふずるい考へは毛頭なかつたのであるから訴外人樫本定雄が上告人より売買上の手数料を得て居ても受け取らなかつた者の如き考へを押し進めて上告人の主張を取り押へんとなしたるも訴外人湯浅芳彰の正しい答弁のためと却へつて訴外人樫本定雄の虚偽の陳述が明確に示し出だされたるも同様なれば斯る理由齟齬若しくは理由錯誤の明確な事実でさへも被上告人の唱ふるが如き邪説の中に押し止め置く事は断じて許されないのである、

上告理由第三点 原判決には審理不尽の違法がある、

仍ち原判決には上告人が故意に所得税の確定申告を怠つたかの如き間違つた考へ方の下において前記の二つの事実を判断なさなかつた違法こそ将に審理不尽の違法を免れないが故に速やかに原判決を取り消して正しい判決にふりかへねばならない。

以上

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